教授挨拶

 

2015(平成27)年41日付けで九州大学 大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 歯科保存学研究分野(旧歯科保存学第2講座)教授ならびに九州大学病院 歯内治療科 科長を拝命いたしました。

当分野(科)は、1971(昭和46)年に故永澤恒先生が初代教授として基礎を作られ、1994(平成6)年に赤峰昭文先生が第2代教授としてその発展に大きく寄与されました。この間に多くの臨床医を育成し、保存治療の啓発と推進に取り組んでまいりました。

 

現在は、保存修復および歯内治療を専門とし、さらにホワイトニング外来を開設しています。「なるべく歯を削らない。なるべく歯髄をとらない。なるべく歯を抜かない。」を基本方針として、歯科用マイクロスコープやコーンビームCTなど先端機器を用いて、正確な診断と治療を行い、患者様には安心安全な医療を提供しております。

また以前であれば、歯根が破折した場合、全てが抜歯の対象でしたが、最近では、接着剤など医療材料の進歩により、歯根破折した場合でも残せる場合があり、抜歯を想定していた患者様にはとても満足していただいています。

 

研究面でも、「歯を如何に永く保存できるか」をテーマに取り組んでいます。大きく3つのテーマが進行しており、1つは、「歯根膜再生・形成の研究」です。これは、う蝕で歯根が大きく欠損した歯や歯根破折した歯の保存、そして歯根膜組織をもった新しいタイプのバイオインプラントを開発するための研究です。次に、「歯髄保護の研究」です。これは歯髄組織を保護し、いわゆる「生きた歯」を維持するための材料の開発に関する研究です。そして3つ目は、「歯の老化の研究」です。近年、高齢の方の歯の残存数が飛躍的に増加している一方、歯の破折件数が高齢者で多くなっていることから、これを防止するために歯の老化について研究を行っています。

以上の研究を通して、患者さんの健康を守り、地域社会、そして歯科医学の発展に貢献することが私たちの目標です。

 

当分野(科)では、Progress of DRT (D: Diagnostic capability(診断力); R: Research mind(研究心・探究心); T: Technical skill acquirement(熟練技術の修得))、すなわち、診断力、探求力、技術力の「3つの力」の向上をかかげており、各々が自己研鑽を積み、生涯にわたって学び、同時に、これを若手医師の育成や学生教育にフィードバックすることを目標としています。歯科保存学分野および歯内治療科は、このような歯科医師の育成と、患者様に満足していただける臨床や将来を見据えた研究に取り組んでいます。患者様に寄り添い、新しい保存治療の提供を目指す諸氏の入局を歓迎いたします。

 

 

 

 

 

沿革

(歯学研究院)

1967(昭和42)年61日 九州大学歯学部創立

1971(昭和46)年41日 初代教授 永澤恒先生により九州大学歯学部歯科保存学第二講座を創設

1972(昭和47)年 教官も定員数を満たし、プレハブではあるが研究室も設置され、カリオロジーを柱として教育、診療ならびに研究が開始

1974(昭和49)年 大学院歯学研究科が新設

1994(平成6)年91日 第2代教授 赤峰昭文先生が着任

2000(平成12)年4月 九州大学大学院重点化に伴い、分野名を大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯内疾患制御学研究分野へと変更

2010(平成22)年4月 分野名を大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野へ変更

2015(平成27)年41日 第3代教授 前田英史先生が着任

現在に至る

 

(病院歯科部門)

1967(昭和42)年8月 歯学部附属病院開院

1971(昭和46)年4月 第二保存科が講座開講と同時に設置

2003(平成15)年10月 病院の統合により、九州大学医学部・歯学部・生体防御医学研究所附属病院が発足し、呼称が九州大学病院となったのに合わせて、当診療科名も第二保存科から歯内治療科に変更

2006(平成18)年4月 現在の病院II期棟に旧歯学部附属病院の診療科と共に歯内治療科も移転

現在に至る